


2012年2月12日に放送された「NHKスペシャル ここまで来た!うつ病治療」で紹介されたアメリカや欧州の最新のうつ病治療のレポートは、薬物療法一辺倒の日本の精神科医療がどれほど遅れているかを痛感させるものでした
ニューヨークにある精神科クリニックのアラン・マネヴィッツ医師が行なう治療法は
TMS(経頭蓋磁気刺激けいとうがいじきしげき)
と呼ばれる治療法です
これは脳の左のDLPFC(背外側前頭前野)という物事を考えたり、判断したりする部位に、機械を使って直接磁気刺激を加えることにより、その機能を活性化してうつの症状を緩和させる治療です
アメリカのFDAに認可された治療法です
番組では3人の患者さんの治療の様子が紹介されていました
薬物療法で効果が見られなかった患者さんが1回40分ほどの、この磁気治療を数回試みただけで著しい改善を見せていました
もちろんこの症例以外にも様々な患者さんの治療実例があり、アメリカでは薬物療法に次ぐ新しい治療法として保険診療が認められて定着しつつあります
しかし日本ではこれらの治療法はまだ「治療」として使用できる認可が降りておらず、数カ所の医療機関が「臨床研究」として限られた条件の患者さんに対してのみ行なっているのが現状だそうである
日本では
がこの分野の第1人者として活動を行っているようである。
このTMSの治療では
うつ病の患者さんの脳では、脳の左側のDLPFC(背外側前頭前野)という物事を考えたり、判断したりする部位の活動が低下し、
逆に扁桃体という嫌な感情や記憶を生み出す部位が過剰に活発に反応する状態をうつ病のメカニズムと考える
そしてDLPFCを磁気刺激して活動性を上げることで、意欲や思考力が正常に機能するようになり、扁桃体の暴走による過剰な不安や悲しみを抑制するというのが治療メカニズムとなる
現在の所、主要な副作用も薬物療法に比べて比較的に少ないという報告がされているようである
しかし、まだ始まったばかりの治療法であるので、これが果たして夢の治療法となるかはまだまだ患者さんの長期の追跡調査研究が必要であるし、
うつ病というのはその人の持つ様々な個人的な環境や事情が絡み合って発症するものなので、あくまで有効な治療法のひとつとして考えるべきであって、万能視するのは危険なことであると、番組でもSSRIをかつて「夢の薬」と紹介した懺悔も含めて紹介していました
私、個人としては長期間、電磁場を脳に照射することで脳腫瘍などのリスクが増す可能性はないか気にかかるところです
しかしTMSが薬物療法に代わる画期的な可能性を秘めていることは疑いようがなく、
また脳機能科学が解き明かした脳の部位と機能の関連性に関する知見がうつ病治療の有効性を飛躍的に高めるのも間違いはなさそうです
次回は番組でも紹介された認知行動療法の新たな取り組みについて紹介したいと思います
臨床心理士によるスカイプ・カウンセリングを行なっています。沖縄県内在住の方であれば出張してのカウンセリング、催眠療法、自律訓練法の指導等にも対応します
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